人がサンフランシスコを思い浮かべるとき、真っ先に浮かぶのはたいていゴールデン・ゲート・ブリッジですが、私にとってはSan Francisco–Oakland Bay Bridge（ベイブリッジ）が心に特別な存在です。

初めてベイブリッジを渡ったのは2009年、初めてのサルサのコンベンションに参加したときで、そのときのことを今でも鮮明に覚えています。当時、SF Salsa Congress の前夜祭はSouth San Franciscoにある伝説的なCafe Cocomoで行われ、本番のコンベンションはOakland Marriottのホテルで開催されていました。Cocomoでの前夜祭のあと、全員がバスに乗り込み、ベイブリッジを渡ってオークランドへ運ばれました。

そのバスの席に座っていた自分を今でもはっきり思い出します。踊り明かしてクタクタになりながらも、これから始まる3日間のダンスに胸を躍らせ、サンフランシスコのスカイラインが少しずつオークランドの夜景に置き換わっていくのを眺めていました。

当時の橋はどこか威圧感のある工業的な構造物でしたが、2013年には、夜になると橋を明るく照らす、銀色の主塔がそびえる新しいスパンが完成しました。やがて私はオークランドのダンスチームに入り、しばしばベイブリッジを渡るようになり、そのたびにその美しさに圧倒されました。

数年後、オークランドから Yerba Buena Island（イェルバ・ブエナ島）まで橋に沿って歩ける遊歩道が開通し、いつか歩いてみたいと思いながら実現できずにいました。今年、この動画制作のおかげでついに叶いました。

撮影は風が強く騒がしい橋の上でなかなか大変で、全身白の衣装のせいで、通行人からは結婚式だと思われて「おめでとう」と声をかけられることが何度もありました。さらに、撮影2日目にはlightning siege of 2020が発生し、煙の影響で動画の制作は1か月以上遅れることになりました。

それでも私たちは粘り強く続け、青い海の上に信じられないほど高くそびえる白い橋と、背景に霞むサンフランシスコの街並みを美しく収めることができました。ベイエリアで最も美しい構造物のひとつへの私たちのオードを、どうぞお楽しみください。