サルサナマとは?
サルサナマ(Salsanamá、SalsanamaやSalsa Na’Maとも表記)は、即興のフットワークと音楽表現で競い合う、1対1のサルサダンス競技です。
トロピカル・ジェム(Tropical Gem)のフェルナンド・ソーサ(Fernando Sosa)が考案したこの競技では、練習済みの振付に頼らず、創造性とサルサ音楽とのつながりを表現することが求められます。ヒップホップのフリースタイルバトルをサルサで行うようなものです。
2人のダンサーが向かい合い、シャインやパシートスと呼ばれるソロのサルサフットワークを交互に披露します。ステップや身体の動き、自分らしいスタイルを通して音楽をどう表現するかが問われます。
サルサナマの大会は、大規模なサルサコングレスやフェスティバルの一環として開催されることがよくあります。イタリアのミラノ周辺で行われるサルサナマ本大会の公式予選となっている大会もあります。予選の優勝者には渡航費の補助が出る場合もありますが、賞品や負担される費用の範囲は主催者によって異なります。
この形式は、ロイヤル・ラテン・ダンス・カップ(Royal Latin Dance Cup)などの他の大会にも影響を与え、1対1のフリースタイル部門が設けられるようになりました。こうした独立したバトルと、サルサナマの公式予選は区別する必要があります。
サルサナマの歴史
サルサナマは2017年2月、ミラノ郊外のブッチナスコにあるカマナ・クラブ(Camana Club)で始まりました。フェルナンド・ソーサは主催者のティト・ペトロニオ(Tito Petronio)とともに、感情と独創性をもってサルサ音楽を表現する力であるサルセリダ(salseridad)に焦点を当てた競技を作り上げました。初回の大会にはアマチュア部門とプロ部門があり、プロ男子部門ではミケーレ・アンジェローニ(Michele Angeloni)、プロ女子部門ではジェシカ・パテーラ(Jessica Patella)が優勝しました。
初期の大会では、事前に発表された曲目リストから使用曲が選ばれていました。その後、イタリア大会のルールが変更され、曲目リストが公開されなくなったことで、知らない曲に対応する力がさらに重要になりました。大会が国際的に広がるにつれて、当初のソロバトルに加え、ユース部門や初出場者向け部門、即興のペアダンスも導入されました。
サルサナマの競技形式
イタリア大会が公開しているルールでは、通常の1対1の対戦は、開始時に曲を抽選します。各ダンサーには40秒の持ち時間が2回ずつ与えられます。ダンサーAが先に踊り、続いてダンサーBが踊った後、それぞれが2回目を踊ります。両者とも、その場で音楽に反応しなければなりません。
審査員が重視するのは、音楽の解釈と、サルサらしさやその精神を意味するサルセリダです。音楽に合っていれば、マンボ、ティンバ、ルンバなどのスタイルを取り入れることもできます。難しい技や大きなジャンプが、必ずしも高得点につながるわけではありません。また、相手のスペースを尊重することもルールで求められています。
決勝や特別部門では、選曲方法や持ち時間が異なる場合があります。イタリアの主催者のウェブサイトには、決勝進出者がお互いに曲を選び合う、持ち時間1分の決勝形式も紹介されています。公開資料が異なる形式を指していることもあるため、出場者は参加する大会と部門のルールを確認する必要があります。
ルールは国によっても異なります。たとえば、ラスベガス・サルサ・コングレス(Las Vegas Salsa Congress)のサルサナマ規定では1回の持ち時間を45秒としていますが、トルコ大会のルールでは40秒と定め、独自の選曲手順を設けています。
サルサナマのバトルを観る
こちらは、ジジ・ビアンコ(Gigi Bianco)とミケーレ・アンジェローニによる2018年のプロ男子決勝です。ビアンコが優勝し、2017年の王者アンジェローニからタイトルを奪いました。
2018年プロ女子決勝
2018年の決勝で、ジェシカ・パテーラがジェシカ・キレス・エルナンデス(Jessica Quiles Hernández)と対戦する様子をご覧ください。パテーラは2017年に獲得したタイトルを守りました。同じ音楽に対して、2人がそれぞれどのように異なる表現をしているかに注目してみてください。
サルサナマに向けた練習方法
サルサナマの中心にあるのは、音楽を表現する力と即興性です。ソーサ・アカデミー(Sosa Academy)では、覚えた振付から一歩進み、その場で自然にステップを生み出せるようになるための専門的なトレーニングを提供しています。
ここでは、フェルナンド・ソーサが指導したり、自身のダンサーたちと実践したりしている4つの練習方法を紹介します。
- サルサ音楽を意識して聴く。 パーカッションやブレイク、アレンジの変化に耳を傾けましょう。曲を知っていることは有利になりますが、よく使われる音楽のパターンを学ぶことも、大会で初めて聴く曲に対応する助けになります。
- 身体の一部だけを使って音楽を表現する。 サルサの曲を流し、肩だけを使ってさまざまな楽器の音にアクセントをつけてみましょう。次に胸、腕など、別の部位でも繰り返します。動きを制限することで、音楽を表現する新しい方法を探すことになります。
- 同じステップを異なる曲に合わせる。 スージーQ、タップステップ、左ターン、チャックステップなどを組み合わせた簡単なステップの流れを選びましょう。それを、雰囲気の大きく異なる複数のサルサ曲で踊ります。それぞれの曲に合わせて、タイミングや力の入れ方、アクセントを変えてみてください。こうすることで、ステップを思い出すことから、実際に音楽を聴くことへと意識が移ります。
- 模擬バトルを行う。 友人と対戦し、40秒ずつ交互に踊ってみましょう。曲をランダムに選び、別の人に審査員役を頼みます。繰り返し練習することで、実際の1対1の競技で感じるプレッシャーに慣れていきます。
過去のバトルを観ることも、優れたダンサーたちが同じリズムをそれぞれどう表現しているかを学ぶ方法の一つです。
今後のサルサナマ大会
2026年10月時点で、以下の大会が発表されています。競技日程は変更される場合があるため、旅行を予約する前に各主催者に確認してください。
- 2026年11月20~23日: カリフォルニア州バーリンゲームで開催されるSFSBKZコングレス(SFSBKZ Congress)内のサルサナマ大会。これはコングレス全体の開催日程であり、サルサナマの競技実施日はまだ確定していません。
- 2026年12月5~6日: イスタンブールで開催されるサルサナマ・トルコ大会。
- 2027年1月28~31日: サルサナマ・イタリア大会は、10周年記念大会アメリカ大陸対ユーラシア(Las Americas vs Eurasia)を告知しています。日ごとの詳しい競技日程はまだ確定していません。
サルサナマ・ワールドカップ2028
サルサナマには個人選手権のほかに、国別代表チームによるワールドカップ形式もあります。これは以前から大会の一部として行われているもので、2028年に新設される大会ではありません。過去のワールドカップでは、主催者がスペインの1位、イタリアの2位を報告しています。
主催者は現在、サルサナマ・ワールドカップ2028を告知しています。公開されているチーム規定では、各国が5人のダンサーでチームを組み、ソロ、デュオ、トリオ、そして5人全員によるバトルを行います。ここでも重視されるのは即興性と音楽表現であり、事前に用意した振付は認められません。2028年大会の日程と開催地はまだ確定していません。
大会の発表やチーム形式の詳細は、サルサナマ公式ウェブサイトをご覧ください。
サルサナマの競技部門
部門名は時代とともに変わっており、過去の結果がわかりにくくなることがあります。以下はイタリア大会の主な部門です。予選では部門数が少なかったり、異なる部門が設けられたりする場合があります。
- ゴールド男子・ゴールド女子(Gold Men・Gold Women): プロダンサーも出場できる、最高レベルのソロ部門です。過去の結果では、一般にプロ男子(Professional Men)、プロ女子(Professional Women)と表記されています。
- アマチュア男子・アマチュア女子: プロとしてのダンス活動を主な生計の手段としていないダンサー向けのソロ部門です。イタリア大会の規定では、アマチュア部門の優勝者は次回大会でゴールド部門に昇格します。
- 初出場者部門(First Time): サルサナマに初めて出場する人のための部門で、アマチュア初出場者部門のほか、大会によってはユースの初出場者部門もあります。必ずしも一般的な初心者向け部門というわけではありません。
- ユース部門: 12歳未満、14歳未満、17歳未満など、年齢別の部門です。過去には13歳未満や15歳未満の部門もありました。エントリー数によって、男女別に競う場合と男女混合で競う場合があります。
- ア・ミ・マネラ(A Mi Manera): サルサの音楽表現を保ちながら、自分らしいスタイルを自由に表現できる、より自由度の高いソロ部門です。履物の規定にも柔軟性があります。
- 即興ソーシャルペア(Impro Social Couple): パートナーとのつながり、リードとフォローの技術、音楽表現を評価する即興のペアダンス部門です。イタリア大会では個人で登録し、決勝までに異なるパートナーと踊る場合があります。
- フュージョン・ティンバナマ(Fusion・Timbanamá): 他のスタイルの要素をより多く取り入れられる特別な形式です。公開されているティンバナマの規定では、使用曲をティンバとし、キューバンダンスの要素を認めていますが、サルサの基礎が明確に見えることを求めています。
エントリーには、プロとしての活動状況、出場資格、年齢区分、さらにはダンスシューズの規定も関わります。以前の部門名がそのまま使われていると思い込まず、現在のイタリア大会のルールや、参加する予選の規定を確認してください。
サルサナマの歴代優勝者と大会結果
イタリア選手権の優勝者:2017~2020年
| 年 | 部門 | 優勝者 |
|---|---|---|
| 2017 | プロ男子 | Michele Angeloni |
| 2017 | プロ女子 | Jessica Patella |
| 2018 | プロ男子 | Gigi Bianco |
| 2018 | プロ女子 | Jessica Patella |
| 2018 | 15歳未満 | Samuele Bruno |
| 2019 | プロ男子 | Yuri Colucci |
| 2019 | プロ女子 | Jennifer Tsuha |
| 2019 | アマチュア男子 | Carlos Campari |
| 2019 | アマチュア女子 | Eva Bazzini |
| 2019 | 15歳未満男子 | Radu Manole |
| 2019 | 15歳未満女子 | Natalia Caputo |
| 2020 | プロ男子 | Nicolò De Angelis |
| 2020 | プロ女子 | Yaiza Melero Tortosa |
| 2020 | アマチュア男子 | Danny Imperiale |
| 2020 | アマチュア女子 | Kimberly Guanziroli |
| 2020 | アマチュア初出場者男子 | Vincenzo Taranto |
| 2020 | アマチュア初出場者女子 | Martina Spidaletta |
| 2020 | 17歳未満男子 | Agustin Derosa |
| 2020 | 17歳未満女子 | Carolina Sosa |
| 2020 | 13歳未満(男女混合) | José María Berretta |
2018年のプロ男子決勝ではジジ・ビアンコがミケーレ・アンジェローニを破り、女子決勝ではジェシカ・パテーラがジェシカ・キレス・エルナンデスに勝利しました。2019年、ミケーレ・アンジェローニはユーリ・コルッチ(Yuri Colucci)に次いで、再びプロ男子部門の2位となりました。2020年はニコロ・デ・アンジェリス(Nicolò De Angelis)が優勝し、デニス・コレンティ(Denis Correnti)が準優勝しました。また2020年には、オマール・ロペス(Omar López)とアンドレア・ガルシア・シエラ(Andrea García Sierra)がアメリゴ・サッジェーゼ(Amerigo Saggese)特別賞を受賞しました。これは各部門の優勝とは別の賞です。
イタリア選手権の優勝者:2021年
| 部門 | 優勝者 |
|---|---|
| プロ男子 | Mirko Amati |
| プロ女子 | Jennifer Tsuha |
| アマチュア男子 | Liborio Riparia |
| アマチュア女子 | Sofia Tanfoglio |
| アマチュア初出場者男子 | Vittorio Bruno |
| アマチュア初出場者女子 | Sandy Fiore |
| 17歳未満男子 | Samuele Bruno |
| 17歳未満女子 | Kimberly Guanziroli |
| 13歳未満 | Amberly Guanziroli |
| ア・ミ・マネラ | Omar López |
出典:TGフェスティバルによる2021年の全優勝者レポート。
イタリア選手権の主な優勝者:2022~2026年
| 年 | 部門 | 優勝者 |
|---|---|---|
| 2022 | 17歳未満女子 | Kimberly Guanziroli |
| 2022 | 王者の中の王者(特別タイトル) | Kimberly Guanziroli |
| 2023 | 即興ソーシャルペア | Sasha Phillips and Samuel Funflow |
| 2024 | ゴールド男子 | Omar López |
| 2024 | ゴールド女子 | Paula Popayán Cortés |
| 2025 | ゴールド男子 | Gabriel Arpino |
| 2025 | ゴールド女子 | Paula Popayán Cortés |
| 2026 | アマチュア男子 | Ege Şen |
2021年のプロ男子王者ミルコ・アマーティ(Mirko Amati)は、2025年のゴールド男子部門でも準優勝しています。この表は、2022年の報道、2023年の記事、オマール・ロペス、パウラ・ポパヤン・コルテス(Paula Popayán Cortés)、エゲ・シェン(Ege Şen)のプロフィール、および主催者によるガブリエル・アルピーノ(Gabriel Arpino)の優勝発表を出典としています。
主な地域予選の結果
以下は、イタリア以外で行われた予選や各国大会の結果です。世界選手権のタイトルとは分けて掲載しています。
| 年 | 大会 | 部門 | 優勝者 |
|---|---|---|---|
| 2023 | 中米大会(エルサルバドル) | プロ | Melvin Varela |
| 2023 | 中米大会(エルサルバドル) | 即興ペア | Melvin Varela and Vicky Palacios |
| 2024 | サルサナマ・トルコ大会(夏) | ゴールド男子 | Ege Şen |
| 2024 | サルサナマ・トルコ大会(夏) | ゴールド女子 | Öykü Eroğlu |
| 2025 | サルサナマ・トルコ大会 | ゴールド男子 | Efe Yetiştiren |
| 2025 | サルサナマ・トルコ大会 | アマチュアペア | Yeşim Özgen and Ege Şen |
| 2025 | サルサナマ・トルコ大会 | 10歳未満(男女混合) | Defne Sucuoğlu |